児童思春期精神科ってどんなところ?
児童思春期精神科ってどんなところ?
実は、『児童』という言葉自体が曲者だったりします。学校関係の法律(学校教育法)では、児童というのは「小学生」のことを言います。ついでに言うなら中高生は「生徒」、大学生は「学生」と呼ばれます。また、同法では就学前の幼稚園児や保育園児は「幼児」と呼ばれ「児童」とは区別されています。一方、児童福祉法上の「児童」というのは、18歳以下(高校卒業まで)をいうのです。さらに、児童福祉法では児童を満1歳に満たない「乳児」、満1歳から小学校修学までを「幼児」、小学校就学から18歳に達するまでを「少年」と区別してます。医療の世界ではどちらの意味で「児童」という言葉を使うかというと、児童福祉法の意味で使います。つまり、18歳以下(高校卒業まで)のことを指しています。
したがって、「児童精神科」というだけで、未成年の子どもたち全てを診療する精神科なのです。ところが「児童思春期外来」と言う表記を見かけることが多いですよね。「児童思春期外来」とわざわざ書いてあるところがあるのは、学校関係の法律で定められた「児童」という言葉に慣れ親しんでいる一般の方たちにとってわかりやすくするためです。
結論としては、「児童思春期精神科」と「児童精神科」というのは、ほぼ同じものだと考えていただいていいと思います。
「児童思春期性精神科」は18歳以下のお子さんたちのこころの問題を相談する、治療してもらう、そういう場所だと考えていただけたらなと思います。
もちろん、お子さんを精神科に連れていくなんて、と思う方もいるかもしれません。そのお気持ちは当たり前だと思っています。他の項で述べる「こういう場合は受診をおすすめします!子ども編」を見て、ひょっとして当てはまっているのではないか、と思われた場合や、一度しっかり子どものこころの発達や内面をプロに相談しておきたいなど、来るきっかけはなんであってもいいと思っています。
もし、ご本人が「行きたくない」と言っている場合は、保険適応外になりますが、「家族相談」という形も受けておりますので、一度ご連絡をいただけたらと思っています。
身体の病気を扱っている診療科において、小児科と内科が分かれているのには、いろいろな理由がありますが、「子どもは大人のミニチュアではない」からで、小児科は小児科で子どものための独自の知識が必要です。児童思春期精神科も同様です。こころにおいても、「子どもは大人のミニチュアではない」ので、成人の精神科だけを勉強してきた精神科医よりも、きちんと「児童精神科」を学んできた児童精神科医が必要なのです。
児童精神科医というのはまだまだ人数が足りていない分野ですので、本当のプロにかかることができない人もいるかもしれません。そういうときは「今、自分がかかっている先生をどのくらい信頼できるか」ということを考えてみてください。その先生を心から信頼しているのであれば、あえて専門の先生に変えなくてもいいかもしれません。ただ、一抹の不安があるのであれば、児童精神科医の門を叩いてもいいと思います。予約が混み合っていて診察を受けるまでの待機期間が長いこともあるかもしれませんが、それだけの価値はあるでしょう。
ちなみに当院では当日予約枠を1枠設けてあり、当日の朝一番に電話をいただければ、その日に診察することも可能です(1名だけになりますが)。